ハーモニックドライブ®の生みの親 C.W.マッサー

The world of motion control transformed by a single invention.

ひとつの発明が、
モーションコントロールの世界を変えた

ハーモニックドライブ®の発明者
C.W. マッサー

斬新な発想に基づく、ユニークな原理のハーモニックドライブ®。
このメカニズムは、米国の発明家クラレンス・ウォルトン・マッサーによって生みだされたものです。
マッサーは、専門の機械工学の分野を超え、物理・化学・生物など広範囲にわたり1500件以上の特許を所有する天才発明家です。
これまで、動力と動作を伝える歯車機構は、「より速く、より精密に」という至上目的を達成するため、剛性が高まる一方でした。
これに対し彼のハーモニックドライブ®理論は、金属のたわみ、弾性力学を応用するもので、従来の常識をくつがえす動力伝達方式として当時一躍世界から注目を浴びました。
そして、その製品化の可能性に賭け、名乗りを上げたのが、米国のユナイテッド・シュー・マシナリー社と私たち株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズの前身である株式会社長谷川歯車でした。

C.W.マッサーの略歴

1909年 米国ペンシルバニア州ランカスター郡に誕生
1921年 父エズラ逝去(C.W.マッサー12才)
1926年 マンハイム自治町公立高等学校卒業
1937年 6月23日エドナと結婚
1943年 世界初の無反動砲を完成
1947年 米空軍向け高速飛行機用緊急脱出個人カタパルト初期モデルを完成
1955年 ハーモニックドライブ®の基本特許出願(米)
1958年 スプライン及びロータリーテーブル特許出願(米、訂正噛合理論のハーモニックドライブ®の応用機構、同特許日本出願:1963)
1960年 新力学分野「弾性体運動学」を第6回機構学会にて発表
1964年 NASA、「レスポンシン」を気象衛星「スカイラボ」に搭載
1965年 技術援助契約に基づくハーモニックドライブ®理論の講義を、長谷川歯車技術者3名にU.S.M.社にて実施
1968年 ASMEより機械設計賞授賞
1998年 6月8日逝去

ペンシルバニア州とマサチューセッツ州の公認技術者であったマッサーは、M.I.T.及びペンシルバニア大学を含む多くの大学で研鑽を積んだ後、職業発明家となり、アメリカ合衆国政府、G.M.、オーリン・マシーソン、U.S.M.及びその他の多くの企業とコンサルタント契約を結び活躍しました。

第2次世界大戦中、マッサーの努力は彼が発明した無反動砲に結実しました。この発明には61の特許があり、そしてその製作と試作品の実験を直接指導しました。
同時にマッサーは多くの救命装置—航空機用カートリッジ駆動カタパルト、天蓋放出装置及びパラシュート解放装置など—を開発しました。

ハーモニックドライブ®の発明者
C.W. マッサー紹介動画

戦後、マッサーは弾性変形を積極導入した機械系新分野であるハーモニックドライブ®の開拓者となりました。
彼はこの機構に関連する外国特許を15カ国に、70件以上取得しています。

その他の功績としてはプラスチック製品や精巧な試験機及び測定機類があり、米国内特許は合計で200件以上、少なくとも28カ国において多くの特許が公告されています。

マッサーの生涯の成果は次の彼自身による哲学的言明によって最も良く言い表されています。
「それが出来るか出来ないかは決して問題ではない。ただ人が如何に時間と労力を費やすかだけである。」

― C.W.マッサー

Musser(マッサー)記念室

2006年10月に、C.W.マッサーゆかりの品々を集めた展示施設「Musser記念室」を穂高工場(長野県安曇野市)に開館しました。

展示物は、C.W.マッサーが実際に使用していた工作機械や測定器具類、ハーモニックドライブ®を発明した当時の論文や特許資料・試作品等で、これらはC.W.マッサーの遺族の好意により当社が譲り受けたものであります。

記念室入口のアーチや、室内の木目調の家具、什器類は、マッサーの自宅ラボのイメージを元にデザインしました。

Musser記念室 内部

マッサーの自宅ラボを模したMusser記念室の入口

金属の弾性力学を応用したハーモニックドライブ®

金属の弾性力学を応用したハーモニックドライブ®は、わずか3点の基本部品(ウェーブ・ジェネレータ/フレクスプライン/サーキュラ・スプライン)から構成されています。

ウェーブ・ジェネレータ

楕円状カムの外周に、薄肉のボール・ベアリングをはめた部品。ベアリングの内輪は、カムに固定されていますが、外輪はボールを介して弾性変形します。一般的には入力軸に取り付けます。

フレクスプライン

薄肉カップ状の金属弾性体の部品。開口部外周に歯が刻まれています。フレクスプラインの底(カップ状底部)をダイヤフラムと呼び、通常、出力軸に取り付けます。

サーキュラ・スプライン

剛体リング状の部品。内周に歯が刻まれており、フレスクプラインより歯数が2枚多くなっています。一般にはケーシングに固定されます。

マッサーの発明した波動歯車装置は、当時“Strain wave gearing”の名称で発表され、本名称で特許が取得されました。その後、日本においては株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズがこの技術の実用化に成功しました。
なお、学術的・一般名称は「波動歯車装置」であり、「ハーモニックドライブ®」は、当社グループが製造販売する製品にのみ使用される登録商標です。

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